特徴
ブドウは、落葉つる性のブドウ科果樹で、1本でも自家受粉します。
西アジア原産の欧州種と北アメリカ原産の米国種の2大品種とこれらの交配種の雑種が主で、ニーズに合わせた新しい品種改良も進められています。
つるの伸ばし方によって棚仕立てや垣根仕立てがありますが、枝が良く伸びるので、棚仕立てが一般的ですが広い場所が必要です。
園芸店で手に入りやすいのは巨峰のようです。
多くの品種がありますが、一例を示すと次のようなものがあります。
巨峰 | 欧米雑種。果実は紫黒の大粒。甘みが強く酸味が少ないが、樹勢が強く花振るいしやすい。 |
デラウエア | 米国種。果実は濃い赤の小粒で、粒が多い。甘みが強く、種無ぶどうとして親しまれている。 |
ピオーネ | 欧米雑種。果実は巨峰より大きい。甘みは濃厚で酸味、渋みも少ない。 |
藤みのり | 欧米雑種。果実は巨峰より大きく、花振いが少ない。甘みは濃厚で酸味、渋みも少ない。 |
シャインマスカット | 欧米雑種。2006年に品種登録された新しい品種の白ブドウで、マスカットの香り、高い糖度を持ち、皮ごと食べられる。 |
栽培
ブドウは、昨年伸びた枝の各葉柄に付く混合花芽から春に新梢が伸び、複数の花穂を付けますが、この新梢の伸び具合を見ながら、充実した果実を得るために、花芽欠き、残した新梢先端の摘心、副梢の芽欠き、花房肩部の副穂や先端を切る花穂の整理、粒の数を抑えて大きくする摘粒、房を落として房の数を抑える摘房などを行います。
花芽欠きは枝数を抑えて過繁茂や貯蔵養分の浪費を防ぐために行うもので、副芽や強勢な結果母枝先端部の1~2芽を取ります。
先端の摘心は花振るい(開花しても実が止まらない)を起こさないようにするために行うもので、開花1週間前頃に、結果させたい花房の先の葉を5~6枚くらい残してその先の新梢をハサミで摘み取ります。
新梢が1m以上伸びていると、貯蔵養分を新梢と競合しあって花振いし易くなるので、剪定や肥料等による樹勢の調整が併せて必要になります。
副梢は放任してもよいですが、たくさん発生すると暗くなるので1~2枚の葉を残してその先を切除し、すぐ伸びの止まる弱い副梢は養分を蓄える働きをするので取らないでおきます。
花穂の整理は房の上部が少し花が咲き始めた頃に行い、上部数段の支梗と下端を少し切除し、15段(7~8cm)程度にします。摘粒は果実肥大時に混んでる部分の小さな粒をとって30~35粒にします。
高橋さんち
我が家では、2005年に「巨峰」の苗を園芸店から購入したのがスタートで、「植付け後2芽残して上を剪定」と苗のラベルにあったので切ったら翌年芽が伸びずに枯れてしまいました。
再度苗を購入、翌年新しい芽が伸びたのを確認して剪定し、車を持たないので使わない駐車場の下に棚をつくって育て始めました。
途中いろいろ苦労しましたが、今では上の7月の写真のようにやや安定してきました。
「巨峰」のように樹勢が強い品種では先端の特定の芽に養分が集中しないように花芽を5~7個残す長梢剪定をします。
さらに、 頂芽優勢が強いので、4月に入ると元気の良い枝の先端に最初の新芽が付き、 このような先端に近い芽は早く成長して養分を吸収して元の方の芽は成長しないことが多く、主幹の近くに芽が無くなり、枝のやりくりに結構苦労していました。
これを避けるためには、2012年から先端の勢いのある芽は欠いて途中の芽を伸ばすように枝の元の方に芽キズを付けてやるようにしたら、概ね均等に芽が出るようになりました。
農家と違う悩みは、「巨峰」は大きく成長する種類ですが、車庫の下に納めなくてはならないので「暴れる枝」を抑える作業が必要なことです。
摘心や剪定でも追い付かないことが多く、気づかないうちに枝が数メートルに伸びたことがありました。
このような枝では花が咲いても途中でほとんど落粒してしまいます。
自宅で食べるので農家のような種なしにするジベレリン処理は行っておらず、1~2個程度のタネが入っているものもありますが(種が入らないと実が小さいので入ってほしい)、自然な甘みがで美味しいです。
収穫時期を迎えても、市販の巨峰のように色が真っ黒にはならず、濃い紫程度で、収穫時期も10月中旬~11月になり、「ほんとに巨峰?」と言われます。
実が大きくなり始めたら1枝に1房にしなければいけない摘房が徹底していないことや、車庫にはポリカの屋根があるので直射日光が不足していること、夏蒸し暑く昼夜の温度差があまりないなどから無理かもしれませんが、品種に間違いなければ粒は少なくても真っ黒で大きなブドウをいつかはならしてみたいと思っています。
病害虫
病気には、果実などに黒い丸印の付く黒とう病やうどんこ病などがあり、落ち葉の処分、粗皮削り、巻きひげの除去、果梗の除去などを行って予防しています。
害虫には、幹や枝に入り込んで食害するブドウトラカミキリやブドウスカシバの幼虫、葉を食害するブドウスカシクロバの薄黄緑色の幼虫やコガネムシなどがあます。
特に、コガネムシは葉を食べてボロボロにするので、見つけ次第スプレー式の殺虫剤を直接噴霧して駆除しています。
無農薬が理想ですが、殺菌・殺虫剤を合わせた薬剤散布(マラソン乳剤+ベンレート水和剤)は黒とう病、うどん粉病などの病気、スリップス、ブドウスカシクロバの幼虫などの害虫対策として新梢が伸びて葉が展開した頃に行うことにいています。
しかし、2013年は春にうどんこ病が発生し、全体に広がってしまったのでほとんど収穫できませんでした。
荒皮削り、残った巻きひげや果柄等の撤去などは寒い時期の作業になるのでつい後回しになってしまいます。