特徴
ミカンはインド東部から中国南部が原産。ミカン科の常緑高木。
温州ミカンは江戸初期に鹿児島県長島町付近で突然変異で発生した種なし種で、糖度が高く品質と食べ易さから全国に栽培が広まった。
栽培できる地域は広いが、低温に強い品種でも-5℃以下になると落葉したり枝が枯れたりし、生育期の温度が不足すると果実の肥大や味が悪くなる。
4~5月に春枝が伸び、枝によってはその春枝から7~8月に夏枝が、更に9~10月にその夏枝から秋枝が伸びる。春枝は短く止まるが、夏枝、秋枝は葉の間隔が長く徒長気味に育つので充実した枝になりにくい。
花芽は1~2月に分化し、主に前年の春枝の先端から2~3葉に混合花芽を付ける。夏、秋枝にも実を付けることがあるが良い実にならない。
花には、新梢が伸びて葉が展開しその先に咲く有葉花と、新梢がほとんど伸びずに葉もつけずに花が咲く直花がある。更に、1つの花の単生花と房状の総状花がある。直花は栄養状態の悪い結果枝に多く、生理落果しやすい。
なお、前年に実を付けた枝には花芽できず、実のならない発育枝(翌年は花芽をつけるので切らないでおく。)が育つので、豊作の次の年は不作になる隔年結果になりやすく、豊作が予想される花芽の多い年は蕾を摘み取っておくと、翌年その枝から花芽の付いた新梢が発生し、実がなる。
毎年安定して果実を成らせるには、摘蕾、摘果を行い、果実が成っている枝と成っていない枝がそれぞれ半数ずつある状態にする方法がある。摘果時期は生理落下が終了する7月中旬頃から行うのが一般的で、早い時期に強い摘果をすると実が大きくなりすぎて品質が悪くなることがある。
受粉しなくても実がなる強い単為結果性を持っているので、1本でも実がなる。種がないのは「雄性不稔性」が強いので花粉が少なく能力もないためで、別の品種の花粉を受粉させれば種はできる。
主な品種には次のようなものがある。比較的寒さに強い早生種と暖かい地方の普通種がある。
宮川早生 | 早生種で耐寒性があり、丈夫でよく実がなる。果実はやや腰高で、膜は薄い。甘さと酸味のバランスが良く、濃厚な味。 |
大津4号 | 中生品種でたくさん実をつけるが隔年結果しやすい。果実は扁平、果皮はなめらかで甘みが強い。 |
青島温州 | 晩生品種でたくさん実をつけるが隔年結果しやすい。果実は扁平で大きい。果皮のしまりよく、美味しい。 |
栽培
日当たりのいい水はけのよい」北風の当たらない場所。時期は、3月頃。
剪定は3月上旬から萌芽するまでが基本で、全体を見て込み合う枝などの不要な枝を切って樹の内側まで光が入るようにし、残った枝については以下のように処理する。
春枝のみ:先端から2~3葉に混合花芽を付けて開花、結実する。この枝は結果母枝となるので切らない。
春枝から伸びた夏枝:夏枝は葉は大きいが間隔が広く、徒長気味に育つことが多い。その時は夏枝の基部を5mm程度残して切り戻し、春枝から結果母枝を出させる。
夏枝から伸びた秋枝:秋枝が伸びた場合は、9月頃に夏枝の中間で切り戻し、結果母枝を出させる。
隔年結果にならにように、整理落果後の7月中旬に1回目の摘果を、8月中旬に2回目の仕上げ摘果を行う。発育の悪い果、太い果梗に付いた上向きの果などを摘果し、葉20~25枚で1果にするが、今年伸びて葉を5~6枚付けた枝の先端に付いた実は残す。
早い時期に強い摘果をすると果実が大きくなりすぎて品質が悪くなることがある。
夏から秋にかけて多孔質シートなどで被覆して乾燥気味に育てると糖度が高く品質の良い果実が取れる。
高橋さんち
埼玉県の我が家でも早生の温州ミカンがよく育っています。
2006年頃に近くの園芸店から購入した苗で、風の当たらない南向きに1本植えました。
2011年に最初花がたくさんついていましたが、随分落ちてしまって実が付かないと思っていたら、特に北側の枝先にいっぱい実が付きました。摘果すればよかったかもしれませんが、もったいないのでそのままにしていたら落果もなく大きく成長して枝を支えないと折れそうになったので支柱で支えました。
12月になって良く色づいてきたので中旬以降何度かに分けて収穫しました。
1本の木で全部で130個収穫できました。
それ以降、平均して毎年250個くらい収穫できています。
上の写真のように、大きさや形はまちまちです。
面白いのは、隣にはるみミカンを植えているためか、上に突起のあるデコポンの形に似たミカンが混じっていることです。